『フードパーパス』編集長の千葉哲幸が「いまどきの」繁盛店や繁盛現象をたどって、それをもたらした背景とこれからの展望について語る。アウトドアエンターテインメントを提案することで、外食の可能性を開拓するLHの「体験型サービス」とは(この回のみ)近年、アウトドアでBBQを提供する業者が増えてきている。それは、遊休化している駐車場、公園や商業施設を借り上げて、アウトドアエンターテインメントを提案し、その空間を確保。そのメインの機能としてBBQを開設するというスキームである。これは、地域やテナントに活性化をもたらして、周辺住民にも「楽しさ」をもたらしている。そして、地方自治体にとっても、その街に付加価値をもたらすということで、有望視されているという。今回は、このようなアウトドアエンターテインメントを推進している、ある企業の動向を紹介する。現在、LHが「アウトドア・イベント事業」として全国で展開している、出張カキ小屋「牡蠣奉行」。こちらは東京・両国にある施設「兄弟」「仲間」を大切にすることを掲げた経営理念ここで紹介する会社は、LH株式会社(本社/東京都目黒区、代表/林 昭信)。2015年3月に設立している。同社のホームページでは冒頭、「代表あいさつ」として、次のようなメッセージを掲げている(一部、省略)。「LHという社名は、言葉から成り立つ戦略です。スペイン語の『Los Hermanos』から名付けたもので、『兄弟』『仲間』が由来です。『LH』はたくさんの仲間(ステークホルダー)と共に成長し、たくさんの兄弟(家族)を大事にし続けます」「地方創生で日本を活性化させたい。2015年の創業当初より、いままでにない、食を中心としたエンターテインメント事業を中心に展開してきました。地域やテナントの活性化を図り、周辺に住む人のライフスタイルを充実させたい。そんな想いと、それまでの経験から生まれた多くのアイデアを通し、食を楽しみ、人との出会いやコミュニケーションを図ることが出来る場を提供し続けています」「すべての食材を無駄にしない、トレード・オンで食と人をつなぐ。すべての事業は『食』と『人とのつながり』から展開をはじめています。品質にこだわった食材を、楽しく、豊かにみなさまの元へお届けしたい。これからもその想いは変わりません。いままでの常識に縛られずに、『ワクワクすることをカタチに』して、他社にはない発想で新規事業を立ち上げていきます」「アウトドア・イベント事業」をメインに5事業を推進同社では、いま5つの事業を推進している。1つ目、「アウトドア・イベント事業」。これはLHのメイン事業となっていて、現在関東圏を中心に、BBQ場の運営や、生鮮品を使った食に関するイベント等を行っている。この中には、「復興支援事業」として、宮城・石巻のカキを中心に、全国で出張カキ小屋「牡蠣奉行」を展開している。東京・両国にある出張カキ小屋「牡蠣奉行」の客席の様子。グループ客が食事を楽しんでいた2つ目、「飲食事業(外食・中食)」。店舗としては、京都タワースカイラウンジ「空」~KUU~、餃子専門店「三つ善」、兼松エレクトロニクス内「café&dinner calms」(社内ラウンジ)、ベトナム料理「これがPho」京橋など。中食では、BBQ会場、病院、ドラマの撮影現場、パーティ会場などへの仕出し弁当、ケータリングサービスを展開している。3つ目、「生鮮品卸事業」。食材にこだわりを持っている生産者を応援し、中間流通を省略することで、適正価格での取引を行っている。提携企業の一例を挙げると、肉の卸業者で、畜産農家と直接契約し、育豚の段階から品質向上に努めている㈲MEAT PRO鈴木(静岡県御殿場市)。全国各地の中央卸売市場、カキ小屋、居酒屋などに、カキなどの水産物や加工品を卸している㈱山一水産(宮城県石巻市)など。4つ目、「厨房機器レンタル事業」。業務用冷蔵庫や冷凍庫などの厨房機器を長期間レンタルサービスしている。リースでも、購入でもない、手ごろな月額料金で貸し出している。5つ目、「サロン事業」。ヘアアトリエ、まつ毛エクステサロンを運営している(東京都渋谷区)。マグロのお頭をバーナーで焼いて、「あら汁」の調理に取り掛かる全国で、期間限定で市場型海鮮BBQイベントを開催このように、多様な事業を展開しているLHでは、アウトドア事業の新業態として、市場型海鮮BBQイベントの「出張!浜焼き うまか市場」を開発した。4月18日から愛媛県今治市(イオンモール今治新都心)を皮切りに全国展開を行う。イベント名の「うまか市場」とは、主役の食材である「ウニ」「マグロ」「カキ」の頭文字から名付けたという。宮城・石巻産のカキは、大振りで肉が厚く、食べ応えがある同社では、これまで商業施設の屋上や広場などを活用した都市型BBQ施設「BBQ DAYS」など、アウトドアと食を掛け合わせた「体験型飲食事業」も展開してきている。このようなイベント運営のノウハウと、産地とのネットワークを活かし、この度の新業態を立ち上げた。主力商品のマグロは、さまざまな部位をそれぞれに適した食べ方で提供しているこの業態は、期間限定により日本各地で展開する。現状では、「イオンモール今治」から始まり、全国15カ所での開催が決定している。それぞれの開催場所と開催期間は以下のとおり。イオンモール今治新都心:愛媛県今治市にぎわい広場1-1(4月18日~6月8日)カスミ桐生相生店:群馬県桐生市相生町5丁目425-2(5月15日~6月14日)イオンモール新居浜:愛媛県新居浜市前田町8-8(6月12日~7月5日)トピレックプラザ:東京都江東区南砂6丁目7-15 駐車場内(6月19日~7月12日)イオンモール高知:高知県高知市泰南町1丁目4-8(7月10日~8月6日)フレスポ八潮:埼玉県八潮市大瀬1丁目1-3 平面駐車場(7月17日~8月23日)イオンモール高松:香川県高松市香西本町1-1(8月21日~9月23日)*これらは、4月15日現在に発表したもので、開催は順次行っていく。LHの木村城氏は、この新事業について、このように紹介してくれた。「この事業の本質は『市場(いちば)の機能をイベント化すること』にあります。従来の飲食は、提供される、座って食べる、という受動的な体験ですが、このイベントでは『自分で選ぶ楽しさ』『自分で焼く楽しさ』『その場のライブ感』という能動的な体験へと転換しています。来場者の方には、市場のように食材を見て選び、その場で焼いて食事をすることで、まるで漁港の市場にいるような臨場感を楽しんでいただきます」このようにLHが手掛ける事業は、アウトドアエンターテインメントのコンセプトを骨子としていて、リアル店舗ではない空間の中で、外食の価値を提供するという試みであり、外食市場の中に新しい可能性を発掘した、ということが出来る。新業態の展開を「イベント」と称していることから、ユニフォームはお祭り気分を演出