『フードパーパス』編集長の千葉哲幸が「いまどきの」繁盛店や繁盛現象をたどって、それをもたらした背景とこれからの展望について語る。「喜ばれることを、喜びに。」を経営理念とする宇都宮の繁盛店企業「チームバリスタ」が東京に進出(この回のみ)筆者は、JR宇都宮駅に直結する商業施設「パセオ」の1階にある、大箱の飲食店に格別の想いを抱いている。その店名は「餃子といえば芭莉龍(バリロン)」。何が格別な想いなのか。それは同店に、飲食業の「理想形」を感じたからだ。同店に出会ったのは2024年8月の下旬のこと。筆者は青森に帰省して、帰路、東京に向かう途中で、「宇都宮餃子を食べてみよう」と、宇都宮で途中下車したのであった。そこで、宇都宮駅から駅前ターミナルに向かう途中に、この「餃子といえば芭莉龍」が存在した。同店は、横に長く開放的なつくりで、商業施設の通路と、ターミナルの路面から店内をのぞくことが可能で、そして両方から店内に入ることが出来る。JR宇都宮駅のターミナル側から見た、宇都宮本店の店頭の様子。窓越しにダイナミックな光景が見える「お客様に喜んでいただこう」という想いを体現夕方17時ごろ大層にぎわっていて、「宇都宮から東京に向かうときに、また来よう」と。市内を一周してから19時に再び訪問。ウエーティングは2時間前よりも長くなっていた。筆者は一人だったので、比較的に早く店内に入ることが出来た。メニューは餃子の存在感が際立っていたが(当時1皿638円)、エスニック風の串料理も個性を放っていた。そして、栃木県産の日本酒を数多く品揃えしていた。筆者が店内の若い女性スタッフに、「この店名は、何と読むの?」と質問したところ、「バリロンです」と、満面の笑顔で答えてくれた。筆者は楽しくなって、餃子の工房の前に行き、工房のスタッフを背景にしてスマホで自撮りをしようと、スマホを構えた。すると、工房のスタッフ(20代前半の女性4人)が、筆者のスマホに向かって、筆者の背景になって手を振っていた。これも満面の笑顔であった。「ここはディズニーランドか?」と。一人で興奮して、お客で盛り上がるテーブル席に戻った。ウエーティングルームに沿って餃子の工房がある。ここをバックに自撮りをしようとしたら、彼女たちは筆者のスマホに向かって手を振ってくれたテーブルに届いた餃子は大振りで(1個25gとのこと)、食べると、餡は柔らかくなく、肉の歯応えがあって、肉汁がジュワッと出てきた。「餃子を食べに行く」という目的性は十分であった。この体験をきっかけに、筆者は同店を経営する株式会社チームバリスタ(本社/栃木県宇都宮市)のことを調べて、創業者の磯信太朗氏に速攻でアポをとりインタビューを行い、5つくらいの媒体に記事を書いた。記事を書きたいという欲求が高ぶるお店であった。同社の経営理念は「喜ばれることに、喜びを。」というもの、これらを従業員が体現する仕組みが整っていた。同店は2020年10月にオープン。前述の通り絶好の場所にあり、同社は社運を賭けて52坪の物件に1億2000万円を投じて店舗をつくった。そして、お客は宇都宮、栃木県下からだけではなく遠方からもたくさん訪れるようになり、月商3300万円を売り上げるようになった。 チームバリスタの代表は、創業者の磯氏から事業承継をする形で、2025年6月に橋本哲也氏が引き継いで現在に至る。経営幹部は磯体制と変わらず、経営理念を磨き続けている。メインのメニューは肉の歯応えのあるオリジナルの餃子。麻辣やパクチーでバラエティをつくっている 勤め人の町、東京・茅場町の路面に出店この「餃子といえば芭莉龍」が、7月6日、東京・茅場町の飲食ビル「GEMS茅場町」1階にオープンした。このブランドは2023年4月、既に東京進出を果たしている。このお店は東京駅八重洲北口の八重北食堂1階にある「餃子といえば芭莉龍 八重北分店」である。とは言え、茅場町店の場合はオフィス街の路面にあってよく目立ち、同店の東京進出を象徴する存在感がある。39席67席の規模で、店内の中央にオープンキッチンを囲んだカウンター席があり、ダイナミックな構成になっている。さて、「餃子といえば芭莉龍」の新店がオープンした茅場町は、勤め人の町である。飲食ビルの1階路面で、宇都宮の本店に対して一回り小さめになっているが、立地する客層を想定した工夫が凝らされている。店内に入ると、オープンキッチンが形成され、丸型のカウンター席がそれを囲んでいる。周りのテーブル席もそのショーアップされた様子を楽しむことが出来る。店内の壁面は、本店と同様に栃木を代表する建材の大谷石で構成して、風格のある雰囲気になっている。茅場町店のオープンキッチンの様子。周りにテーブル席を配してショーアップした調理の様子が見えるメニューは、ランチ帯、ディナー帯ともに、同ブランドの特徴をふんだんにアピールしている。まず、基本となる餃子メニューはこちら(すべて5個)。焼餃子(858円、税込、以下同)麻辣焼餃子(968円) パクチー焼餃子(1078円)水餃子(858円) ゆずと生姜の水餃子(968円)海老水餃子(968円) ホタテ水餃子(968円)茅場町店の出店に向けて新しくメニューが開発された。こちらは「牛だし太旨麺」のセットサイドメニューとして「芭莉龍名物 あそび串」をラインアップ。ねぎ盛りレバー串(528円) やみつきラム串(638円) ささみと青しそおろし串(528円) 牛バラとフォアグラのロッシーニ串(968円) 豚巻きにら明太串(638円)などランチメニューの一例はこちら。牛だしフォーセット:焼餃子3個(1298円、税込、以下同)、焼餃子6個(1628円)旨辛まぜ麺セット:焼餃子3個(1298円)、焼餃子6個(1628円)焼・水餃子セット:焼餃子3個(1298円)、焼餃子6個(1628円)牛だし太旨麺セット:焼餃子3個(1298円)、焼餃子6個(1628円)アルコール類では一般的な品揃えに加え、栃木県産のクラフト焼酎のハイボールや日本酒のラインアップを充実させて、特徴を打ち出している。宇都宮本店の実績から、お客一人当たりの消費金額は1000円から5000円と広いレンジとなるが、客単価は2300円と想定している。チームバリスタの橋本代表は、「お仕事終わりに『餃子で一杯』ではなく、『芭莉龍で一杯』といった店に育てていきたい」と語っている。商品力がはっきりとしていることから、勤め人の町で定着する日は早いのではないだろうか。