『フードパーパス』編集長の千葉哲幸が「いまどきの」繁盛店や繁盛現象をたどって、それをもたらした背景とこれからの展望について語る。北海道発で業態を開拓するイーストンが東京・笹塚で二毛作業態をオープンファジーな営業方針で稼働率アップ図る(この回のみ)4月9日、京王電鉄・笹塚駅近くに二毛作業態がオープンした。店舗は20坪32席の規模で、昼は「鶏白湯ラーメン」の専門店、夜は「焼手羽」をメインに据えた居酒屋で、店名は、昼は「白鶏舎」、夜は「トリノイロ」となる。同店を経営するのは、株式会社イーストン(本社/北海道札幌市、代表/大山泰正)。同社は北海道に本拠を置いて、北海道食材を活用した飲食店を、北海道、東北、関東に45店舗を展開している。主要な業態は、「北海道イタリアン」を訴求するもの、焼鳥を中心とした居酒屋「いただきコッコちゃん」、そして生パスタ専門店の「麦と卵」の3つ。ちなみに、今回の二毛作店舗は、「麦と卵」から業態転換したものである。二毛作店舗であっても境界線を厳密につくらない「白鶏舎」「トリノイロ」が開発された経緯について、イーストンの取締役新規事業推進室室長の畠山和人氏はこのように語る。「夜型の飲食業は、コロナのときに夜の営業が苦戦した。そこで、昼の営業を取りにいくようになりました。唐揚げ屋さんとか、間借り営業の形で行いました。そして、コロナがあけて、夜の営業が復活するかな、と言えばそうではない。昼の営業を継続する必要性がありました。そうであれば、22時以降のお客様を狙わずに、昼の営業を取りに行こう、と考えて、この二毛作店舗は誕生しました」多様な調理機器によって、商品のクオリティアップを実現している一つの物件に、二つの売り方が存在することによって、営業の仕方についてファジー(柔軟な判断や制御)に取り組むことが出来る。この点について、畠山氏は「昼はラーメンの店ですが、昼からお酒を楽しむお客様がいたら、その需要に応えていく。夜の居酒屋で食事の需要があったら、それに応えていく」と語る。巨大なターミナルの新宿から一駅離れた場所にあり、オフィス、住宅ともに混在している。オフィスワーカーのランチ需要があり、夜は「一杯飲んで」といった需要もある。週末は、ファミリーの需要も存在する。だからこそ「ファジーな営業が活かされる」といったことも考えられる。その点、畠山氏は「今回の試みが成功すると、この業態はさまざまな立地で展開することが出来る」と、実験的な試みにこれからの飛躍を託している。昼・夜それぞれの業態で商品設計にこだわるお昼時に営業する業態の「白鶏舎」は、「鶏白湯ラーメン」の専門店で、「見て美しく、食べて美味しい、ご褒美の一杯」をコンセプトとしている。スープは国産の鶏ガラを長時間炊き上げて旨味を凝縮、さらに少量の豚骨をブレンドすることで奥行きのあるコクと自然な甘味を引き出している。仕上げの際に、スープの中にブレンダーで空気を含ませている。これによって、泡のように軽やかで、ポタージュのように滑らかでクリーミーな口当たりを実現している。麺には、スープとの相性を追求した白鶏舎オリジナルの卵麺を使用。ツルッとした喉ごしと、もちもちとした食感が特長、濃厚でありながら軽やかな鶏白湯スープと調和している。食事の途中で、レモンやりんご酢を加えることで、味わいに爽やかな変化を加える「味変」や、食べ終えた後のスープに、ご飯、チーズ、黒コショウを加えて、「リゾめし」を楽しむことが出来る。このように、一杯の鶏白湯ラーメンを、最初から最後まで、ストーリー性のある楽しみ方が出来る。さらに、骨から炊き上げた鶏白湯スープは、腸内環境を整える働きもあり、この点も訴求ポイントとしている。ディナー帯に営業する「トリノイロ」は、「焼手羽」をメイン商品に位置付けた居酒屋業態。北海道の知床・羅臼の豊富なミネラル分を含む「らうす海洋深層水」のにがり成分からつくられる塩「ラウシップ」でシンプルに下味を施し、塩やコショウをブレンドした「秘伝のスパイス粉」をまとわせて、オーブンでじっくりと焼き上げている。このような調理を行うことで、手羽から余分な脂を落とし、香ばしくして、鳥本来の旨味を引き出している。看板メニューの「手羽先」は、一皿に12本とボリュームがあり、価格が1280円と求めやすいことから、同店で食事をする際の必須アイテムとして定着していくと思われる。その他、塩・ニンニク・醤油・生姜をベースにした特製タレに漬けこんだ「もも唐揚げ」は、表面はカリッと香ばしく、中身はふんわりジューシーに仕上がっている。また、鶏肉などを串に刺さずに皿で提供する「皿焼鳥」をラインアップして、焼き立てをすぐに楽しむことが出来る気軽さとシェアのしやすさを提案している。20坪32席の規模の中で、多様な客層が利用できる仕組みが試みられている「白鶏舎」の代表的なメニュー(営業時間:11:00~14:30/L.O.14:00)鶏白湯 950円鶏を煮込んだ濃厚なコクと旨味をベースに、豚骨スープの甘味をブレンド。まろやかさの中にコクが感じられる。レモンやりんご酢で味変を楽しむ。 味噌鶏白湯 950円 鶏白湯に、北海道で醸造した味噌をプラスした。生姜をトッピングしている。 辛味噌鶏白湯 950円味噌鶏白湯のコクと旨味に、白鶏舎オリジナルの「辛玉」を加えることで味を際立たせている。「トリノイロ」の代表的なメニュー(営業時間:16:00~23:00/L.O.22:00)手羽先(12本) 1280円手羽先を揚げずに、オーブンでじっくりと焼き上げている。これによって余分な脂分を落として、コラーゲンが感じられる商品にした。 もも唐揚げ(4個) 680円国産チルドの鶏肉を使用、塩・ニンニク・醤油・生姜で味付けをしている。片栗粉を使用していて、揚げたては、カリッ・サクッと、中がジューシーに仕上がっている。皿焼鳥 480円~「焼鳥」とは、「串に刺して焼く」という形態が定番であるが、これを串に刺さずに皿に盛り付けるという形で提供している。このような提供方法によって、レバーやつくね、野菜などを、グループで取り分けながら楽しむことを提案している。・ズッキーニ(塩昆布)・セセリ(バジルレモン)・レバー(タレ)・月見つくね(タレ)