『FOOD PURPOSE』を始めます。私は外食分野の記者を約40年間務めている。このたび『FOOD PURPOSE』の編集長に着任し、このページづくりと共に、私の知見を元にして外食に意見を発信していきたい。私は「食の総合出版社」を標榜する柴田書店に1982年に入社して、『月刊食堂』編集部に配属されたのは1987年のこと。ここから私の外食記者人生が始まった。当時はチェーンストア理論が業界のメジャーを牽引して、「価格3分の1」が目標とされていた。相場とされている価格を引き下げることが真の社会貢献とうたわれた。そして、バブル経済が高まり「イタメシ」ブーム到来。外食はチェーンよりも「専門店」や「個性」が尊重されるようになった。1997年に外食市場はピークに達し、そこから減少傾向に入る。2000年をまたぐかたちで「低価格競争」が著しく激しくなり、マクドナルドのハンバーガーは55円に。一方で焼肉ブーム到来。「牛角」が一世を風靡して、「FCブーム」へと展開していった。その渦中にあって、「狂牛病(BSE)」が2001年9月日本で、2003年12月アメリカで発生。外食は一斉に「安全・安心」を唱えるようになり、「人間力」をたっとび「居酒屋甲子園」が誕生した。2010年を超えると、マスマーチャンダイジングから脱するようになり、「高品質・高付加価値」に向かう。クラフトビールやコーヒーの「第三の波」が注目を浴びる。「インバウンド」が賑わうようになり、「日本食が観光立国を支えていく」という。2020年に入り、「コロナ」が襲撃。インバウンドがなくなり、アルコールは売れない、お客は来ない。その一方で、「デリバリー」や「通信販売」という新しい活路を見出した。2022年10月よりインバウンドの入国が緩和され、2023年5月にコロナは5類となり、外食はコロナ禍前の日常を取り戻した。コロナを経験した外食は、自社の強みを掴んで、クオリティの高さを追求するようになった。そして、こんにちは「値上げ」を強いられている。そこで私たち編集部は、このような外食を捉えて『FOOD PURPOSE』という世界観を見出した。それは「外食の存在意義」ということ。私が外食分野の記者として携わって知った外食の約40年間は、「激しい変化との闘い」であった。しかし、外食は常に「人々の喜び」を創造した。外食は人々にとっての「存在意義」を追求してきた。ここから『FOOD PURPOSE』で綴っていくことが、みなさんにとっての「存在意義」の参考になるように鋭意継続していく所存です。よろしくお願いいたします。2024年11月吉日 『FOOD PURPOSE』編集長 千葉哲幸