株式会社こむぎのは、2025年3月31日付で、福岡県の老舗飲食チェーン「うちだ屋」を運営する株式会社うちだ屋の発行済全株式を取得した。「うちだ屋」は、九州・福岡エリアに根ざした飲食チェーンとして、地域の顧客に長年親しまれてきた店で、こだわりの麺やスープを使ったうどん、家庭的で温かみのある和定食や丼ものなど、幅広いメニューでファンから愛されている。株式会社こむぎのは、ホリエモンこと堀江 貴文が主宰するオンラインサロンHIU(堀江貴文イノベーション大学校)から生まれた“地方活性型エンタメパン屋”「小麦の奴隷」をはじめ、沖縄そばをリブランディングした「沖縄そば くいな」など、地方から生まれる食の魅力を大切にしながら多様なブランドを展開する、食の総合プロデュース企業。「うちだ屋」と「こむぎの」との相乗効果1977年、福岡市東区多々良にて、創業者の内田 勝行氏が「うちだ屋」第1号店を開店した。 平成初頭より、 新たなブランドとして「めん勝」「万福うどん」の展開も開始し、多角的な事業展開を図り、1998年には店舗数を120店舗まで拡大し、九州全域でのプレゼンスを高めた。 その後、こだわりの麺と秘伝のスープを提供し、多店舗展開を進め、現在では九州全域で42店舗を運営している。株式会社こむぎのは、東京都千代田区に本社を置く、食の総合プロデュース企業。 ベーカリーブランド「小麦の奴隷」をはじめ、「沖縄そば くいな」など、地方から生まれる食の魅力を大切にしながら多様なブランドを展開。「小麦の奴隷」は、全国各地にフランチャイズ展開しており、設立後3年で150件以上のFC加盟契約の獲得に至っている。こむぎのの経営陣には創業者である橋本玄樹氏のほか、上場飲食企業グローバルダイニングの取締役副社長を経て複数の著名飲食業態を開発してきた連続起業家の河村征治氏、さらに河村氏と共に100店舗を超える飲食店を手がけてきた笹山直人氏、大手ベンチャーキャピタルでキャピタリストを経験後、バイアウトファンド「日本創生投資」を創業した三戸政和氏、そして堀江貴文氏らが名を連ねる。本件資本提携において、各領域のプロフェッショナルのノウハウ・ネットワークを集結させ、うどん業界の革新に挑戦していく。うどん業態の再評価とファミレスから回帰の潮流近年、うどん業界は盛り上がりを見せており、ひとりの食事はもとより、家族で楽しむ食事においても、ファミリーレストランのような業態を利用していた層の一部が、うどん業態に回帰する流れができつつある。うどん業態が注目を集めている背景には、外食市場の構造的な変化がある。1つに、ファミリーレストラン業態が人件費の高騰やメニューの非専門性が原因で、消費者の関心を引きにくくなっているという点。そして、もう1つに、ファストフード業態では原材料、エネルギーコスト、人件費等の上昇により価格改定が相次ぎ、手頃感が薄れてきた、といったことが挙げられる。こうした中で、専門性がありながらも価格を抑えやすいうどん業態、その中でも多彩なメニュー構成を持つ「ファミレス的うどん業態」は、相対的に高いコストパフォーマンスを感じさせる存在として消費者の支持を集めつつある。シンプルで親しみやすい商品構成に加え、利益構造にも優れたうどん業態は、今の外食市場における“穴場”として再評価されている。これまで、うどん業界では、「丸亀製麺」を展開する株式会社トリドールホールディングスが、現在国内外で約1,951店舗を運営し、業界トップを走ってきた。創業者であり現社長の粟田 貴也氏は、「“丸亀製麺”を日本発のグローバルブランドにする」 という目標を掲げ、2027年度には世界4,900店舗体制を目指すと明言している。現在のうどん業界には、大きな変革が起こりつつある。北九州のソウルフードとして人気の「資さんうどん」が全国展開へと動き出し、”博多うどんブーム”を巻き起こしている。 「資さんうどん」は、創業者から地域密着型ファンドへの譲渡を経て、2018年に独立系ファンドのユニゾン・キャピタルが全株を取得し、70店舗超まで店舗数を拡大してきた。その後、外食大手・株式会社すかいらーくホールディングスが240億円の資金を投じ、「資さんうどん」を傘下に収めた。現在、すかいらーくホールディングスは、九州を中心としていた店舗網を全国に広げ、今後3〜5年以内に200店以上に拡大する目標を掲げている。2025年2月には、東京初となる両国店がオープンし、開店前には約170人が列をつくるなど、人気となっている。今や定番化した「讃岐うどん」に「博多うどん」が挑む「資さんうどん」が火付け役となって、ブームを巻き起こしている博多うどんは、讃岐うどんと比較すると以下のような特徴がある。このような違いが生まれている理由として、その背景にあるうどん文化や食文化にも着目する必要がある。博多うどんは、福岡を中心とした「やわうどん文化」戦後、屋台文化や炭鉱労働者向けに「やわらかくて消化の良いうどん」が好まれるように。福岡・北九州では、ごぼ天うどんや丸天うどんなどのご当地メニューが定着。食堂や定食屋に近い雰囲気を持ち、家族連れや高齢者にも根強い支持。讃岐うどんは、香川を中心にした「麺が主役」の食文化朝ご飯代わりや軽食感覚で「さっと食べて、さっと出る」文化。茹でたて命。麺のコシとツヤが命。行列のできる店が多く、うどん巡り観光も浸透。今や、「丸亀製麺」を筆頭とするうどんチェーン店の拡大で、日本全国で讃岐うどんのスタイルや文化が「うどんの常識」として定着しており、「うどん=讃岐」と連想する人も多い。讃岐うどんとは対極の哲学を持ち、地元で根強く支持されてきた博多うどんが、九州を飛び出し全国区となりつつある。博多うどんの勢力図(4大博多うどん)博多うどん業界には、出店数を伸ばしている「資さんうどん」が全国的には取り上げられることが多いが、ほとんど同じ時期に創業し、各々独自の特色や魅力を生かしながら競い合ってきた4社が存在する。「資さんうどん」「牧のうどん」「うちだ屋」「ウエスト」の4社だ。4社はみな1960~1970年代に創業し、1990年代から2000年代初頭にかけては、「うちだ屋」と「ウエスト」が店舗数において2強を形成し、博多うどん業界を牽引していた。近年では「資さんうどん」が急速に店舗数を増やし、全国展開を進めるなど、新たな勢力図が形成されつつある。【資さんうどん】創業:1976年、北九州市で創業。特徴:「肉ごぼ天うどん」や「ぼた餅」など、多彩なメニューと24時間営業で知られる。店舗展開:2023年11月には関西地区初出店となる「今福鶴見店」をオープンし、関東進出も果たすなど、全国展開を加速。戦略:2024年、株式会社すかいらーくホールディングスが買収し、既存の「ガスト」店舗を転換して「資さん」ブランドに変えていく方針を明らかにしている。【牧のうどん】創業:1970年、福岡県糸島市で創業。特徴:極太のやわらかい麺が特徴で、食べても食べても減らない「増えるうどん」として地元で親しまれている。店舗展開:福岡県を中心に18店舗を展開。戦略:郊外型の大型店舗を中心に展開し、地元密着型の経営を続けている。【うちだ屋】創業:1977年、福岡市で創業。特徴:うどんを中心に、定食や丼ものなど多彩なメニューを提供し、家族連れに人気。店舗展開:最盛期には100店舗を超え、ウエストと並ぶ2強として博多うどん業界を牽引していた。現在は42店舗を運営。戦略:2025年、株式会社こむぎのと資本提携、新たな戦略を打ち出す。【ウエスト】創業:1966年、福岡市で創業。特徴:うどんを中心に、焼肉や居酒屋業態も展開する多角経営が特徴。店舗展開:福岡県内を中心に、全国で約250店舗を展開。戦略:24時間営業やリーズナブルな価格設定で、幅広い客層を取り込んでいる。直近では、1951年に福岡市で創業し、福岡県内に8店舗を展開する「因幡うどん」(力の源カンパニー運営)が、2025年春に東急プラザ原宿ハラカド店をオープンし、関東初進出を果たした。看板メニューには「ごぼう天うどん」「肉うどん」「えび天うどん」などがあり、「かしわ飯」や「いなり寿司」などとの丼物セットも人気を集めている。「こむぎの」と「うちだ屋」5年後に80店舗超の展開に向けてこむぎのがこれまでに全国で100店舗超の出店を進めてきたベーカリーブランド「小麦の奴隷」は、北海道大樹町で誕生し、“人口5,000人のローカルエリア発”というバックグランドを持ちながら、ユニークなプロデュース力とその拡大スピードによって話題を呼んできた。「小麦の奴隷」ブランドの成功を支えてきたのは、各領域のプロフェッショナルによるノウハウや経験、そして発信力といった他飲食業態でも活用可能な経営資産だ。今後は、こうした経営資産を活用し、以下の取り組みを推進していく。さまざまな採用手法の導入による人員不足の解消営業の運営に関するDXによる運営効率改善規模拡大に備えた店舗標準化本部機能の拡充ガバナンスの整備全国各地での新規出店と全国への発信、PR活動強化5年後には現在の店舗数の約2倍、80店舗超への店舗数拡大を目指している。