産直通販サイト「食べチョク」を運営する株式会社ビビッドガーデンは生産現場で実際に起きている変化を把握するため、米農家を対象に、実態調査を実施した。今回、米の増産について調査を行ったところ、昨年と比べて増産していると回答した米農家は52%にのぼり、今後も増産していく方針であると回答した割合は45.2%となった。米需要の高まりや価格の上昇を受けて、増産に意欲的な米農家が多いほか、このタイミングで直販に挑戦する米農家が3.7倍に増加していることもわかった。一方で、主食用米の増産により生じている飼料用米の生産量減少が畜産農家に与える影響についても調査した。その結果、約45%の畜産農家で、購入する飼料用米の量が減少していることがわかった。背景農林水産省は10月10日に2025年産の主食用米の収穫量が前年産より68万4000トン多い747万7000トンとなる見通しを公表した。これを受けて、米を栽培している農家の増産に関する方針や課題点などを調査することで、日本の米栽培に関する現場の声が正しく発信できると考え調査を行なった。また、主食用米の生産量が増加する一方で、飼料用米の作付面積は昨年と比べて32%減少している。この状況が畜産農家にどのような影響が出ているのかについても、合わせて調査を実施した。実態調査の結果サマリー調査概要調査対象:「食べチョク」に登録している全国の米農家調査期間:2025年10月3日(金)~10月13日(月)調査方法:インターネットによる任意回答回答人数:124人ポイント令和6年産米よりも「増産している」と回答した米農家は52%「今後も増産していく方針」と回答した米農家は45.2%直販に挑戦する米農家は前年同期比3.7倍に増加調査結果の詳細市場での取引価格・直販での販売価格ともに昨年より大幅に上昇米の市場流通での相対取引価格と直販での販売価格を質問したところ、平均価格はそれぞれ下記の通りとなった。市場流通での平均相対取引価格:33,322円(/60kg)※5kg換算すると2,776円直販での平均価格:5,315円(/5kg)2025年5月時点での調査では、「相対取引価格22,700円(2024年9月の価格)」に対して半数以上が「安い」と回答していたことから、今回の価格の上昇は米農家にとっての適正価格での米の買取に近づいていると考えられる。また、2025年7月~9月の間に「食べチョク」に新規登録申請を行った米農家の軒数は昨年同時期と比較して3.7倍に増加している。直販での販売では自身で価格を決めることができ、市場よりも粗利が多く手元に残ることから、このタイミングで直販に挑戦したいと考える米農家の数が増加していることがわかった。半数以上が「収穫量が増加」と回答昨年と比較して主食用米の収穫量が増加する見込みと回答する米農家は52.3%にのぼった。要因としては「栽培面積の拡大」「天候の安定」「水管理や施肥の工夫」などが挙げられた。また、単収(栽培面積10aあたりの収量)が増加したと回答した米農家は52.4%にのぼり、猛暑が続く中でも多収米の導入や栽培方法の変更などにより生産量を多く確保できていることがわかった。今後の増産に前向きな米農家は45.2%「今後米の増産が可能」と回答する米農家は45.2%を占め、約半数は農林水産省の方針と同じく増産に意欲的であることがわかった。一方で増産できる時期について「2年後以降」「わからない」と回答した米農家は35.4%にのぼった。背景には、休耕地となっている土地を水田に転換するには土づくりに時間がかかるという課題があり、最短でも3年かかるためすぐに増産は不可能と回答する人もいた。また、同じ地域の高齢農家が離農することで土地は余るが人手不足で管理できないという課題から、増産が難しいという声もあった。飼料用米の減少が畜産農家に与える影響について「食べチョク」の畜産農家で家畜のエサに飼料用米を使用している畜産農家に対し「昨年と比較して購入量が減少しているか」を質問したところ、約45%は減少したと回答している。理由として流通している飼料用米の量が少なく手に入りにくいもっと購入したいが価格が高騰しすぎて購入できないなどが挙げられた。また、「飼料用米から代替飼料に切り替える予定・検討している」と回答した畜産農家は72%を占め、飼料価格の高騰や供給減が畜産経営に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。調査概要調査対象:「食べチョク」に登録している全国の畜産農家調査期間:2025年10月10日(金)~10月14日(火)調査方法:インターネットによる任意回答回答人数:17人