西日本電信電話株式会社富山支店は、株式会社KKTエンタープライズと株式会社J・MADEが実施する冷凍中食の米国販路開拓事業と連携し、水産業DX推進の一環として、需給マッチングプラットフォームの実証を行った。 1.背景・目的日本の水産業は約70年ぶりに漁業法が大改正され、科学・定量的な資源評価をベースにした漁獲規制と資源保護の促進へ向け、大きな転換期を迎えている。同時に水産庁は2027年までに「スマート水産業」を実現し、資源の持続的な利用と水産業の成長産業化の両立をめざしており、その実現にはDX化の実装が必要不可欠となる。そのような状況下、NTT西日本富山支店では水産業の持続的成長のため、水産業界のサプライチェーン最適化を目的としたバリューチェーン(需給マッチングプラットフォーム、コールドチェーン、越境ECの3機能から構成)構築の検討を進めており、この度需給マッチングプラットフォーム(ver.1.0)を完成させた。また、共にバリューチェーン構築検討を行っていたJ・MADEが、全国商工会連合会の共同・協業販路開拓支援補助金活用プロジェクト「冷凍中食でニッポンの『旬』を『瞬』でアメリカ市場へ」を主体として推進するKKT-EPとパートナーとして取り組むこととなり、当該事業での活用を通して、需給マッチングプラットフォームの実証の実施に至った。2.めざすバリューチェーン像現在国内の多くの市場で行われている、漁獲から卸売、輸送、販売までの一連の水産業フローは、水産物の国内需要が高く、鮮度を保てば適正価格がついた時代に最適化された仕組みであると考えている。その特徴は、「獲れた魚をどこに売るか?」というプロダクトアウト型ビジネスであり、販売は仲買事業者の既存販路中心であり、かつ輸送方式の大半が生鮮輸送であるため、水産業をビジネスとして捉えた場合のリードタイムは24時間であることなどが挙げられる。NTT西日本富山支店がめざすバリューチェーンは、マーケットイン志向なオープンマーケットを構築し、儲かる水産業を実現を目指す。具体的には、需給マッチング機能を活用したマーケットイン志向の導入、冷凍機械・冷凍保管・冷凍輸送を繋げたコールドチェーンの導入で製品寿命を長延化し、在庫型ビジネスや輸出ビジネスへの対応、越境ECによるボーダーレスなど。3.需給マッチングプラットフォームの機能生産者様の商品と国内外バイヤー様の需要をマッチングし、「生産者様にとっては販路拡大」を「バイヤー様にとっては仕入れ先拡大」を実現を目指す。 ◆需給マッチングプラットフォーム(ver.1.0)の主な機能 ・需給マッチング機能 ・商品動画閲覧機能 ・受発注機能 ・商品開発リクエスト機能 ・商品アレンジリクエスト機能 ・商談機能 ・自動翻訳機能今後、オークション機能、SNS連携、レコメンド機能、決済機能等の追加を検討しているという。4.実証内容について(1) 概要J・MADEとKKT-EPが実施する「冷凍中食でニッポンの『旬』を『瞬』でアメリカ市場へ」事業で実施される米国商談会(9/19ニューヨーク会場、9/25ロサンゼルス会場)で、NTT西日本富山支店が開発した需給マッチングプラットフォーム(ver.1.0)をデモ提供し、商談会に出品される日本の商品を掲載、米国バイヤーに利用してもらい、その使用感等を確認。(2) 商談会の状況① 開催日時、場所等ニューヨーク商談会:9/19(木)14:00~17:30、THE NIPPON CLUBロサンゼルス商談会:9/25(水)14:00~17:30、JAPAN HOUSE LA② 出品数(出品者数)NY会場:22品(17社)/LA会場:22品(17社)主な出品商品:鮨蒲(富山・河内屋)、蒸し牡蠣(三重・丸善水産)、魚生ハム(岩手・ゑん工房)等③ 参加者海外バイヤー:NY会場:18社/LA会場:10社 ホールフーズマーケット、Hマート、ビバリーヒルズホテル、現地レストランオーナー 等その他、メディア関係者、インフルエンサー等も参加(3) 実証項目と結果 ① プラットフォームの基本動作(表示、デザイン等)確認 ② 言語翻訳表記の正確さ確認 ③ プラットフォーム各機能動作の適正さ確認 ④ 外国人バイヤーの使用感確認 ⑤ プラットフォーム開発コンセプトに対する外国人バイヤーの反応調査バリューチェーンイメージ商談会模様