『フードパーパス』編集長の千葉哲幸が「いまどきの」繁盛店や繁盛現象をたどって、それをもたらした背景とこれからの展望について語る。「串カツ田中」がリブランディングに着手、「脱・串カツ田中」宣言以来の企業の複合化、進化に向け邁進する(この回のみ)「串カツ田中」(株式会社ユニシアホールディングス〈本社/東京都品川区、代表取締役会長兼社長/貫啓二〉の事業部門)は、この9月4日に同チェーン初のリブランディングを行うことを発表した。同チェーンは2008年12月、現代表の貫啓二氏が、東京都世田谷区に創業店舗をオープンしたことに始まる。客単価は現在2700円。大衆居酒屋の親しみやすい存在感によって、以来18年間を経て全国に約350店舗(直営・FCは約半々)を展開している。アイキャッチの画像が、リブランディングした店舗の外観である。下に掲載したリブランディング前のものとは大きく異なり、“老舗感・こだわり”が感じられるものから、シンプルで万人に受け入れやすいものになっている。同社(ユニシアHD)の発表によると、ロゴや店舗の内外装を刷新することで、ファミリーや女性客、若者客が入りやすい空間とする。また、一部ドリンクの価格引き下げや、新メニューを導入することによって、利用動機の拡大を図る。とのことだ。リブランディング前のロゴは、“老舗感・こだわり”をアピールして認知されてきた年齢・性別を問わず、いつ行っても心地よいお店に今回のリブランドでは、具体的にこのようなことが行った。まず、“田中”の「た」の字をデザイン化したキャッチをつくった。店名のロゴは、シンプルな直線と曲線の書体で「串カツ田中」と記した。店内の内装は、これまで屋台のような雰囲気であったが、それを落ち着いたトーンでまとめて、椅子はパイプ椅子から座り心地のよいものに変更する。新店舗は、すべてこのタイプで出店し、店舗のリニューアルは、直営店から優先的に行って、10年くらいかけて全店を転換する予定だ。リブランィングの店舗の店内は落ち着いたトーンで居心地の良い食空間にしているまた、今回導入した新メニューは、大まかには以下の5点。① 1杯100円で楽しめる「無限ハイボール」の導入このハイボールは「トリス」を使用して1杯100円(税込、以下同/110円)。② 「チンチロ」対象の一部ドリンクの値下げ定番のサワー・酎ハイ(対象商品)を、従来の450円(495円)から290円(319円)へ値下げ。⓷ 名物串が「無限マシマシニンニクホルモン串」1本50円(55円)へ1本50円(55円)の「無限ニンニクホルモン串」が。パンチの効いた「マシマシ仕様」に。④ 自分で作る「レバニラ炒め」の開発(もしとんシリーズ)*「もしとんシリーズ」とは、「もしも、やきとんメニューを田中がやってみたら」というラインアップ)・小(1~2人前)600円(680円)・大(3~4人前)1000円(1100円)「無限マシマシニンニクホルモン串」の特性タレを使用。卓上でジュージューと焼き上げる体験型スタミナメニュー。⑤ 豚ホルモンの新・串カツ4種が登場(もしとんシリーズ)・豚ホルモン串/シロ(大腸)、ヒモ(小腸)、ハツ(心臓)、ガツ(胃):各種150円(165円)新メニューでは、ドリンクの価格を引き下げるなど、“気軽さ”をアピールしているこの度の「串カツ田中」のリブランディングの狙いは、同社発表によるとこのようなことだ。「現在、住宅街立地を中心に確固とした基盤を築く一方で、多様化する外食ニーズに伴って女性をはじめとする幅広い広い層のお客様が、より利用しやすい店舗空間をつくる。長時間の滞在でも、居心地がよく快適に過ごすことができる。ブランド全体の視覚的・空間的な洗練度を向上させて、さらなる進化の可能性があると捉えている」そこで、「これまでの親しみやすさはそのままに、店舗外観・内観デザインおよびブランドロゴを一新」、「性別や年齢を問わず、多くのお客様に、いつ行っても心地よい時間を提供できる店舗へと進化する」と、うたっている。「今日は田中にしよう。」と、呼ばれ続ける存在へこれらのリブランディングによって、「串カツ田中」の顧客層や利用動機を拡大、出店場所の開拓を図っていく、としている。こうして、同チェーンが創業当初から特徴としてきた、顧客にファミリーや女性客が多いことに加えて、Z世代をはじめとした若者客、ちょい飲みといった一人客の需要獲得も図る。出店場所はこれまでの路面店に加え、大都市圏での空中階や大箱への出店も想定している。これらによって「現状の約350店舗を500店舗、1000店舗を狙っていく」と貫氏は語る。「串カツ田中」では、創業以来子ども客に人気で、子ども客向けの数々のサービスを提供しているさて、「串カツ田中」では新たに「タグライン」(理念や世界観を端的に表現したメッセージ)と「ステートメント」(声明、主張の類)をつくり上げた。「タグライン」は、「今日も、田中で。」「ステートメント」は、「今日は田中にしよう。」そう言ってもらえることが、私たちの誇りです。串カツ田中は、そう呼ばれ続ける店でありたい。さて、ユニシアHD(当時、串カツ田中HD)では、2025年9月に行った「脱・串カツ田中」宣言以来、著しい勢いで企業の新しい方向性に邁進している。同時に、“ロードサイドの革命児”と目されている株式会社ピソラの完全子会社化を発表した(当時、「PISOLA」を約60店舗展開)。「脱・串カツ田中」宣言のときに、貫氏はこのように語っていた。「これは、『串カツ田中』を捨てる、ということではありません。『当社が進む道』ということです。当社は今後1000店舗体制に向けて、事業領域を拡大して、さらにグローバルに出ていくことを目標にしています。そのためには現状維持ではなく、サービスや質を磨き上げ、プロフェッショナルな人材育成を推進して、『串カツ田中』を変革していかないといけない。『串カツ田中』に次ぐ新しい挑戦、新しい価値を創造して、企業価値の向上を目指していかないと。ピソラの完全子会社化もそのためです」「PISOLA」は“ロードサイドの革命児”と目されて、新しい外食の豊かさを示しているこの間、「串カツ田中」では、低価格の定番メニューを導入しで、既存店の売上120%を達成。一方で、インバウンド向けや、さまざまな専門店の開発を進めて行った。そして2026年3月、社名を「串カツ田中」から「ユニシアHD」に変更した。これらの過程の中で、貫氏は常々このように語っていた。「ゼロイチで取り組んでいく」と。このような社風の中では、人材が育ち、それぞれが同社の新しい領域を切り拓いていくことであろう。「脱・串カツ田中」宣言の大望がどのように進展していくのか。大いに注目していきたい。9月4日の記者発表で、リブランディングと進化の展望を語る代表の貫氏