株式会社帝国データバンクは、2025年「恵方巻」価格調査結果について、発表した。2025年節分シーズンの恵方巻の平均価格は、一般的な五目・七目の恵方巻で1,094円と、前年より14.2%値上がり。海鮮恵方巻も平均1,944円となり、12.4%上昇した。コメをはじめ海産物や鶏卵の価格が上昇し、大幅な価格引き上げが相次いだ一方、手ごろな価格帯の恵方巻では価格据え置きや値下げといった動きもあり、価格帯の二極化が進行しているという。調査結果今年の恵方巻、平均価格は前年比10%超の大幅値上げ恵方巻、再び「高値」へ 低価格と高級志向の二極化進む[注1]全国の大手コンビニエンスストア・外食チェーン・スーパー・日本料理店などのうち、前年の価格と比較可能な「恵方巻(五目・七目 )・海鮮恵方巻」を対象に調査。比較対象は合計104社。一般的な1本・18cm前後(ハーフを除く)の商品が対象。[注2]前年と比較できない恵方巻があるため、一部前年調査から対象が変更となっている。入れ替え対象の恵方巻について2021年まで遡って価格データを再集計した。今年の恵方巻、平均価格は前年比10%超の大幅値上げ 全国の大手コンビニエンスストアや外食チェーン、スーパー、著名な日本料理店など計104社で販売される2025年節分シーズンの恵方巻価格を調査した結果、一般的な五目・七目の恵方巻(田舎巻、太巻1本当たり)における平均価格は1,094円(税込)だった。1年前の958円に比べて136円、率にして14.2%の大幅な値上がりとなった。豪華で高級志向な品が多い海鮮恵方巻では平均1,944円となり、前年から215円・12.4%の上昇となった。 昨シーズンから値上げを行った恵方巻は50社に上り、前年(48社)を上回った。値上げ幅別にみると、最も多いのは「100円未満」(24社)で全体の3割超を占めたものの、23年シーズン以降で最少となった。なかでも、回転寿司チェーンや食品スーパーなど量販店で販売する単価400~700円台の恵方巻を中心に、50円以上の値上げが多くみられた。また、値上げ幅が「100~150円未満」の恵方巻は13社となり、調査開始以降で最多だったほか、「200円以上」の値上げも最多タイの11社となった。価格の「据え置き(値下げ)」は過去最少の15社だった。総じて、小幅な値上げにとどまった昨シーズンに比べて大幅な価格引き上げの動きが目立った。海鮮恵方巻でも、大幅な値上げが相次ぎ、2025年シーズンにおける海鮮恵方巻の値上げ幅をみると、最多は「200円以上」で32社となり、23年以降で最も多かった。一方で、価格の「据え置き」は19社にとどまり、恵方巻と同様に過去3シーズンで最も少なかった。 今シーズンは、「コメ」をはじめ主要な原材料の多くで大幅な価格上昇が避けられない見通しとなった。市販されるコメ5kgの価格は、前年比で60%超の大幅な値上げとなり、使用頻度の高い味付かんぴょうや海苔も、前年比で20~30%の大幅な価格高騰が見込まれる。 恵方巻、再び「高値」へ 低価格と高級志向の二極化進む 恵方巻の平均価格は1本当たりの平均価格で前年から100円超上昇するなど、40円前後の値上げにとどまり「お買い得感」が強かった昨シーズンから一転して大幅な値上がりトレンドとなった。恵方巻に欠かせないコメの価格の高騰が影響し、海鮮恵方巻では使用する原材料によっては大幅な高値での仕入れを余儀なくされていることも、価格を大きく押し上げる要因となった。他方で、使用する原材料を工夫するなどして手ごろな価格帯の恵方巻では価格据え置きや値下げを行い、物価高による節約志向を意識した値付けもみられた。2025年以降の恵方巻商戦は、昨年末のおせち商戦の流れを引き継いで「高価格帯」と「低価格帯」の二極化がさらに進行すると予想される。