飲食店の出店・開業・運営を支援する「飲食店ドットコム」を運営する株式会社シンクロ・フード(本社所在地/東京都渋谷区、代表取締役/大久保俊)は、飲食店経営者・運営者を対象に「猛暑・酷暑対策について」のアンケート調査を実施した。調査には271店舗が回答し、2026年夏の営業に対する不安や、暑さへの対応状況が明らかになった。調査では、2026年6月から9月の営業について、95.6%の飲食店が何らかの不安を感じていることが分かった。なかでも「暑さによる客足の減少」が70.1%で最も多く、猛暑が集客に与える影響への懸念が広がっている。一方で、暑さ対策にはコスト面の壁もある。7月の光熱費については61.3%が前年より増加すると予測。さらに、暑さ対策が「十分ではない」と回答した店舗の69.7%が、その理由として「費用負担」を挙げた。95.6%が夏の営業に不安、最多は「客足の減少」2026年夏シーズンの営業について不安を感じているか尋ねたところ、「特に不安はない」と回答したのは4.4%にとどまり、95.6%が何らかの不安を抱えていた。最も多かったのは「暑さによる客足の減少」で70.1%。次いで「電気・ガス代など光熱費への影響」が51.7%、「ゲリラ豪雨・台風による客足への影響」が42.8%となった。このほか、「仕入れへの影響」が35.1%、「空調設備の故障・容量不足」が32.5%、「値上げ・価格転嫁の判断」が28.0%、「食中毒など衛生面の問題」が26.6%、「スタッフの体調管理」が24.4%と続いた。猛暑による影響は、単純な客数の問題にとどまらず、光熱費や設備、仕入れ、衛生管理、人材など店舗運営の幅広い領域に及んでいる。客数の増減は分かれる一方、光熱費は6割超が増加を予測2026年7月の来店客数を前年同月と比較すると、「ほぼ横ばい」が37.6%で最も多かった。「減少」は31.4%、「増加」は29.2%となり、客数については増減がほぼ拮抗した。一方、光熱費については明確な傾向が見られた。2026年7月の光熱費について、前年同月より「5〜10%増加」と予測した店舗が45.0%、「10%以上増加」が16.2%となり、合わせて61.3%が増加を見込んでいる。「ほぼ横ばい」は33.9%、減少を見込む回答は1.8%だった。猛暑による空調設備の稼働などが、店舗のコスト負担につながることがうかがえる。約6割が暑さ対策を「特に変更していない」こうした状況に対して、昨年と比べて暑さ対策を強化したか尋ねたところ、「特に変更していない」が59.4%と約6割を占めた。「やや強化した」は33.2%、「大幅に強化した」は6.6%で、何らかの対策を強化した店舗は39.9%だった。来店客向けの具体的な対策では、「空調の増強、追加投資」が41.3%で最も多く、「冷たいおしぼりの提供」が26.9%、「冷たいメニューの追加」が24.7%と続いた。一方、「デリバリー、テイクアウトの強化」は8.1%、「待ち列の日よけ・ミスト・扇風機の設置」は6.6%、「営業時間・ランチ時間の変更」は4.8%にとどまった。また、「実施しているものはない」と回答した店舗も28.4%あり、約3割が来店客向けの暑さ対策を実施していない状況となった。熱中症対策の法改正、55.7%が「知らなかった」スタッフ向けの暑さ対策では、「水分・塩分補給の奨励・提供」が56.8%で最も多かった。続いて「空調・温度管理(厨房含む)」が39.1%、「休憩時間の確保・指導」が35.8%、「作業環境の改善」が27.7%となった。一方、「体調確認・早期発見体制の構築」は19.6%、「熱中症対策の周知・教育」は14.8%、「労働時間の短縮・シフト調整」は9.6%にとどまった。「実施しているものはない」も17.7%あった。2025年6月1日には改正労働安全衛生規則が施行され、一定の暑熱環境下で作業する場合、熱中症のおそれがある人を早期に発見するための報告体制や、重篤化を防ぐための対応手順の整備、関係者への周知が事業者に義務付けられた。しかし、この法改正について「知らなかった」と回答した飲食店は55.7%に上った。「義務化されたことは知っている」は39.1%、「内容まで詳しく知っている」は5.2%だった。「十分な暑さ対策ができない」最大の理由は費用負担暑さ対策を十分に行えているかという質問では、「十分に行えている」が55.0%、「十分ではない」が45.0%となった。「十分ではない」と回答した122店舗に理由を尋ねたところ、「費用負担(設備投資・光熱費)」が69.7%で突出した。次いで「効果的な対策がわからない」が23.8%、「賃貸・施設の制約で設備を変更できない」が18.0%、「人手不足で対応できない」が13.9%となった。全回答271店舗に占める割合で見ると、31.4%が費用面を理由に十分な暑さ対策を行えていないことになる。空調設備の更新や電気代の増加など、暑さへの対応そのものが店舗の経営コストを押し上げるなか、対策を取りたくても費用面から実施できない店舗が一定数存在している。猛暑は「客足」と「店舗運営」の両面に影響今回の調査からは、猛暑が飲食店にとって集客面とコスト面の双方から経営課題となっている実態が浮かび上がった。客足については、前年より「減少」と回答した店舗が31.4%だった一方、「増加」は29.2%となり、影響には店舗ごとの差も見られた。一方、光熱費については61.3%が増加を予測しており、客数以上に共通した負担となっている。実際に、「気温が上がって体温に近くなると、店舗前の道路の通行人が激減する」という声や、「35度を超えるようになってから客足がぱったりと減った」という声が寄せられた。また、空調設備についても「最近の暑さの前に空間を冷やしきらない」「エアコンが古いため電気代が跳ね上がる」といった声があった。厨房の暑さによるスタッフの体調管理を懸念する店舗もあり、猛暑への対応は顧客だけでなく、店舗で働く人の環境づくりにも関わる問題となっている。一方、「気温が高いため、家で料理をするより外食、中食の需要が増えた気がする」という回答もあり、暑さが必ずしもすべての店舗にマイナスの影響を与えているわけではない。今回の調査結果は、2026年8月1日から4日にかけて、飲食店ドットコム会員の飲食店経営者・運営者271人を対象に実施したもの。回答者の69.0%が1店舗運営の事業者で、店舗所在地は東京都が49.4%、首都圏が64.9%を占めている。