株式会社Reviewは、2024年10月〜12月期における全国の飲食店開業データをまとめた「全国飲食店開業ランキング レポート」を発表した。今回の調査では、全国の飲食店開業件数が16,044件となり、前年同時期に比べて微増となった一方、年間で見ると2023年(65,020件)から2024年(58,351件)へと減少傾向にあることがわかった。物価高騰、人手不足、ゼロゼロ融資返済開始などの社会課題が複雑に絡み合う中で、業態別や地域別にその動きは大きく異なっている。飲食店開業数 全国TOP52024年10月〜12月の飲食店開業数ランキングは以下の通り。全国の飲食店開業数ランキングTOP5には、以下の都道府県がランクインしている。2024年10月から12月にかけて、全国の新規飲食店開業数は16,044件となり、前期(7〜9月:14,715件)から約1,300件の増加となった。年末商戦やインバウンド需要の回復、各地で進む観光・都市開発が、飲食業界の出店意欲を再び押し上げた。2024年の下期は、以下のような要因が開業数の増加を後押ししたと考えられる。年末商戦に向けた戦略的出店再開発エリアの物件供給増と期待感インバウンド回復による観光需要の高まり地方における「開業支援制度」の活用テイクアウト・デリバリー向け業態の開業容易化開業数が増加した都道府県TOP52023年と2024年の年間の開業数を比較したところ、開業数が増加した都道府県の上位は以下の結果となった。開業件数の伸びが顕著だった都道府県としては、北海道(+291件)、高知県(+99件)、奈良県(+73件)、新潟県(+63件)、山梨県(+52件)が挙げられる。北海道ではインバウンド需要の回復や観光需要の高まりが追い風となり、主要都市を中心に開業が増加した。また、高知県、奈良県、山梨県では、自治体の補助金制度や空き店舗活用の推進策など、地域活性化を目的とした施策が開業意欲を後押ししたと考えられる。地元食材を活かした店舗や、地域の特色を前面に出した業態が人気を集めており、こうした動きが地方創生にもつながっている。飲食店ジャンル別の動向2024年10月〜12月期、全国の飲食店開業ランキングをジャンル別にまとめると以下の通り。物価高騰や人材不足といった社会課題が経営を直撃する一方で、各ジャンルごとに開業意欲の差が明確に現れた。コロナ禍を経て、飲食店の在り方が大きく変化しつつある今期の動向を、データとともに見ていく。2024年10月〜12月期の全国飲食店開業ランキングでは、飲み屋・居酒屋(1,103件)が首位となり、年末商戦に向けた出店や個人店・大手チェーン双方の積極的な出店が見られた。続くバー(973件)は観光需要の回復やナイトタイムエコノミーの活性化が追い風となった。3位のカフェ・喫茶店(828件)は、フォトジェニックなスイーツカフェや推し活カフェ、地域コミュニティカフェなど多様化が進む一方、前年比約39%もの大幅減少となった。物価高騰や価格転嫁の難しさ、人材不足など複合的な課題が影響したと見られる。4位は各国料理(517件)、5位はラーメン(510件)と続き、訪日外国人需要や地域特化型の店舗など、業態ごとに異なるトレンドが見えた結果となった。カフェ業態の厳しい現実2024年、カフェ・喫茶店の開業数は前年比約39%減少(7,445件→4,557件)と、飲食業界でも最大級の落ち込みを記録した。物価高騰やゼロゼロ融資返済開始など社会課題や、コーヒー豆や光熱費の高騰、価格転嫁の難しさ、人材不足といった要因が複雑に絡み合い、経営環境が厳しさを増している。一方で、SNS映えや推し活需要、テレワーク拠点としての地域コミュニティカフェなど、多様化するニーズに応える新業態も登場しており、今後のカフェ業態は「価格転嫁」や「差別化戦略」の成否が大きな鍵を握ると考えられる。「次の一歩」を共に考える時代へ2024年10〜12月期のデータを振り返ると、全国の飲食店開業数は16,044件と前期(24年7月〜9月)に比べて微増となった。しかし、年間を通して見ると2023年の総開業数(65,020件)から2024年(58,351件)へと減少しており、年間を通した開業に関しては鈍化が感じられる年となった。業態によってその動きは大きく異なり、飲食業界全体が変化の岐路に立たされていることがわかる結果となった。全国飲食店開業ランキングレポート今回の調査結果に関して、詳しくは以下のURLより、レポートを確認できる。https://re-view.jp/wp-content/uploads/marketingreport_food4.pdf